睡眠時無呼吸症候群は重大な病気を招く

睡眠時無呼吸症候群により睡眠中の無呼吸を繰り返すと、体内に取り込まれるべき酸素の量が減少します。すると、少ない酸素を全身にめぐらすため血管や心臓に負担がかかり、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病をはじめ、心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気を合併しやすくなるのです

睡眠時無呼吸症候群から突然死も

心臓に負担がかかっている人 海外の調査では、高血圧患者さんの30%で睡眠時無呼吸症候群を合併することが報告されています1)。睡眠時無呼吸症候群を合併する場合の高血圧の特徴1)として、本来、血圧が下がるべき夜間に下がりにくくなったり、逆に上昇する場合もあったりと、血管に大きな負担がかかることが想像されます。
また、3剤以上の治療薬を投与しても正常血圧まで下がらない治療抵抗性高血圧症(薬剤耐性高血圧症)の場合、検査をすると、80%で睡眠時無呼吸症候群を合併1)していたことも報告されています。
さらに、睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、心臓に負担がかかることが原因で夜間に突然死を起こしやすく、重症の場合、健康な人に比べてその確率が2.6倍2)であったことも報告されています。

1)循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン.Circulation Journal Vol.74, Suppl. II, 2010
2)AS Gami, DE Howard, EJ Olson, et al. N Engl J Med .2005: 352 (12); 1206-14,2005

人生の3分の1を費やす睡眠

寝ている人 我々はふだん、1日の3分の1を睡眠の状態で過ごしています。これはつまり、人生の3分の1を睡眠に費やしていることになるわけです。
睡眠時無呼吸症候群になると、十分な休息をとるための睡眠が分断され、じょじょに脳や体に負担が蓄積されていきます。睡眠は健康を左右するものと捉えれば、「8時間寝ているから大丈夫」と長さだけで評価するのではなく、その質についても見なおす必要があるでしょう。