SASとは?

SAS(サス)(Sleep Apnea Syndrome:睡眠時無呼吸症候群)とは、睡眠中に無呼吸を繰り返す病気です。無呼吸とは、医学的に呼吸の停止が10秒以上続く状態を指し、「ひと晩で30回以上」、もしくは「1時間あたり5回以上」ある場合に睡眠時無呼吸症候群とみなされます。
中年以降に増加し、日本では男性の約3~7%1)、女性の約2~5%1)で該当すると考えらえていますが、睡眠中に無呼吸を自覚し、みずから睡眠時無呼吸症候群を疑うのは難しいものです。そのため、気づかないまま検査を受けず、治療に結びついていない潜在患者さんは多いと推測されます。 なお、睡眠時無呼吸症候群というと成人の病気のイメージがありますが、小児でも約2%に 睡眠時無呼吸症候群が存在すると推定されており、米国の報告では、小児の学業成績に悪影響を及ぼす可能性も示唆されています。

※小児の場合の無呼吸の定義は「2呼吸分以上」となります。
1)睡眠時無呼吸症候群.日本呼吸器学会

睡眠時無呼吸症候群の2つのタイプ

閉塞性 睡眠時無呼吸症候群は、その原因により大きく「閉塞性(へいそくせい)」と「中枢性(ちゅうすうせい)」の2つのタイプに分けられます。
「閉塞性」は、気道(のどの空気の通り道)のスペースが狭くなって無呼吸を引き起こすタイプで、睡眠時無呼吸症候群の患者さんのほとんどがこちらに該当します。厳密にはOSAS(オーサス)(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:閉塞性睡眠時無呼吸症候群)と呼ばれています。
一方、「中枢性」は、気道は狭くならないものの、脳から呼吸の指令が出なくなって無呼吸を引き起こすタイプで、睡眠時無呼吸症候群の患者さんのうち数%が該当します。厳密にはCSAS(シーサス) (central sleep apnea syndrome:中枢性無呼吸症候群)と呼ばれ、発症にはさまざまな要因が関係しますが、一般的に心臓の病気を抱える患者さんに多いとされています。
本サイトでは、「閉塞性」のタイプを中心に説明していきます。

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人とは?

太っている人 健康な人でも、あおむけの体勢になると舌が気道に落ちこみ、睡眠中は筋肉も緩んで気道が狭くなりがちです。さらに、太っていると首回りに脂肪がつくため、気道がより狭くなり、最終的に閉塞して無呼吸を引き起こしやすくなります。
太っている人に睡眠時無呼吸症候群が多いのはそのためで、10%体重が増加した人は、体重が増加しなかった人に比べ、睡眠時無呼吸症候群になるリスクが6倍2)であったことも報告されています。
ただ、やせていれば安心というわけではありません。日本人は欧米人に比べあごが小さく、奥まった人が多いとされています。こうした顔つきの場合はもともと気道のスペースが狭く、やせていても無呼吸を引き起こしやすいと考えられています。

2)Peppard PE, Young T, Palta M, et al. JAMA. 2000; 284: 3015-3021